► English
► 今月のDARTS
図1. 「ひので」可視光磁場望遠鏡がとらえた太陽黒点。
四角枠の中心にある明るい筋構造が「ライトブリッジ」。(JAXA/NAOJ)
太陽黒点?予想外な彩層活動性の発見?
keywords: hinode, solar
太陽黒点(図1)は、太陽内部から浮き上がってきた磁力 線の束が太陽表面に現われた現場である。強い磁場のた めに対流による内部からの熱の輸送が妨げらるため、周辺 に比べ温度が低く暗い。 太陽観測衛星「ひので」は、史上最高の解像度で黒点を 詳細に調べている。明るい割れ目「ライトブリッジ」が黒 点暗部にたびたび現われることが観測される。このライト ブリッジの上空で想像もしなかったジェットという激しい 活動が長時間にわたり発生していること(図2)が観測から 分かってきた。
詳細な磁場データの解析から、ジェット噴出が恒常的に発生
している時、非常に強い電流が「ライトブリッジ」に沿って
存在していることを発見した。電流の存在は、らせん
状に強くねじれた磁力管が、太陽面下から浮上し、垂直に立っ
た強い黒点磁場の下に横たわっていることを示唆する。
この新しい観測は、「らせん状」にねじれた磁場が太陽面下
から浮かび上がってくることが、太陽大気でのダイナミック
な爆発現象の発生を理解する上で重要であることを明確に示
している。遠方の天体・宇宙プラズマで観測される様々な爆
発的な現象を理解する上でも、太陽黒点の振舞いの理解は、
何らかの助けとなるかもしれない。
さらに詳しい解説は
http://solar-b.nao.ac.jp/news/090513Release/
を見てください。
図2. 黒点ライトブリッジで絶えず発生する彩層ジェットの例。
彩層に感度があるCa II H線での観測。視野は図1の四角枠。(JAXA/NAOJ)
清水敏文(JAXA宇宙科学研究本部)
2009年8月